創栄図書印刷株式会社 | 新入社員が行く! 春の工場見学━連載コラム全3回━【第2回 印刷課編】

新入社員が行く! 春の工場見学━連載コラム全3回━【第2回 印刷課編】

2022/06/20

  • 吉祥院工場
  • オフセット印刷

刷版課に続き、第2回は印刷課です。

印刷課では、
・四六全判の両面2色機
・四六全判の両面1色機
・菊全判1色両面2色片面兼用機
・最新の菊全判4色片面機
計4台のオフセット印刷機を使用して印刷を行います。

印刷工場の要となる印刷課。でも実際に大きな印刷機が動いているところって想像しづらいですよね。ただ印刷を行うだけではなく、とっても奥が深いんです!

今回は、そんな印刷課についてみていきましょう!

印刷業務について

前回の刷版課編で、「版」が必要な「オフセット印刷」と「版」を作らない「オンデマンド印刷」があると掲載しました。
“「版」が必要な”印刷にも種類があるのをご存知でしょうか?

これらは大きく分けてとっぱん方式・へいはん方式・おうはん方式・こうはん方式の4種類に分けられます。そして、それぞれの方式によって版式(印刷)があります。

例えば…
  凸版方式→活版印刷
  平版方式→オフセット印刷
  凹版方式→グラビア印刷
  孔版方式→スクリーン印刷

などが挙げられます。創栄図書印刷・吉祥院工場で行っているのは平らな版を使用する「平版方式」の「オフセット印刷」です。さらにオフセット印刷にも、一枚ずつカットされた紙に印刷をしていく「まいよう」と、ロール状の紙を高速で巻き取り印刷を行う「りんてん」の2種類があり、当社工場では「枚葉機」を使用しています。

それでは、オフセット印刷とは一体どのように印刷されていくのでしょう?
詳しくみていきましょう!


まず、用紙のサイズによって縦・横の印刷位置(基準値)を設定します。給紙部より搬送された紙は、ここを通ることで全て同じ位置で印刷することが出来るようになっています。


印刷部では版面の“インキがのらない部分”に水がのり、“インキがのる部分”には油性のインキがのります。水と油が反発しあう性質を利用しているんですね!

そして、版からブランケット(※)に絵柄が転写(オフ)され、紙に印刷(セット)されます。付けて離すという意味から「オフセット印刷」と呼ばれるのです。

※ブランケット…やわらかいゴムでできた転写用ローラーのこと。

カラー印刷の場合はインキの粘度の高い順(K[墨]→C[藍]M[紅]Y[黄])に印刷されます。
その後排紙部に印刷された紙が積み上げられていきます。


インキの濃度を調整しているオペレータです。
このようにオペレータは、紙サイズに合わせて機械の調整、色相や濃度の調整、印刷物に不良がないかのチェックを行います。

Q&A

Q 作業の上で、特に大切にしていることは何ですか?

A 予定を確認すること。
機械がまわるということは利益を生み出すということ。無駄なく機械を動かし続けるためには、予定を把握して準備をしておくことが大切。

Q 仕事をしていて、やりがいを感じるのはどんな時ですか?

A カラー印刷において、狙った色を上手く出せたとき。
特に4色で出すグレーなどは、少しの色のずれが大きく変わって見えてしまい、とても難しい。

Q 綺麗な印刷物をつくるために気を付けていることは何ですか?

A 機械のメンテナンスを前もって予定に組み込んでおくこと。

Q 危険な作業はありますか?

A 動いている機械は危険。機械による挟まれ・巻き込まれ事故は、印刷業での労働災害の50%を超える(平成18年 厚生労働省データより)。そのため、最新の機械では機械内に人が立ち入ると自動で停止する安全装置が備わっている。ただし、安全装置はあくまで補助機能であり、まわっている機械には不用意に近寄らない、回転部には手を触れない、立ち入る際には必ず機械を止めることが大原則。

Q 職業病などはありますか?

A 普段何気なく見ているお菓子のパッケージ等の微妙な色の違いに気が付く。
仕事でのミスが夢に出る。
本を読んでいる時にまず全体的にきれいな印刷になっているかを見てしまう。

Q 特色インキはどのように作るのですか?

A DICには700種以上のチャートがあり、それらは14種のインキを混ぜてできている。
カラーガイドに調合比が載っているので、計量器で比率通りにインキを調合する。

ここが見どころ!


沢山のインキが並んでいます


印刷位置が綺麗に揃っています


検品が済んでいるかを知らせる札


こんな札もありました!
差し入れがあることを知らせる札だそうです。


大きな断裁機!
危険な作業となるため、注意が必要です


網点の確認や見当合わせを行うために使用するルーペ。目的に合わせて倍率の高いものと低いものを使い分けているようです。


私たちも体験させていただきました!

おわりに

今回取材を行う中で、こんな話がありました。

「繁忙期などは納期に間に合わせるため遅くまで機械を動かしていることもある。そんな大変な時でも、明るく声をかけてくれる従業員のいる働きやすい環境のおかげで頑張れる。」

印刷の現場は、みんなで協力しながら動かしているからこそ効率よく良い印刷物をつくることができるため、従業員同士のコミュニケーションはとても大切です。常に機械の音が鳴り響く中でのコミュニケーションでは声を張らなければならず、どうしても怒っているように感じてしまうこともあるそうです。従業員同士の信頼関係が築かれているからこそ、トラブルになることなく円滑に仕事をまわすことができるのですね!

次回予告

次回は検査室編です!
検査をしているのだろう、という事はわかりますが、果たしてどのような検査を行っているのでしょう?

詳しくは次回をお楽しみに!