本の作り方
一冊の本が出来上がるまでには、原稿の作成から製本までさまざまな作業工程を通っていきます。
ここでは「本の作り方」の予備知識をできるだけわかりやすくご案内します。
1.制作工程
本ができるまでの工程は大きく分けて図のようになります。
この中にはもっと細かい作業が数多く存在していて、たくさんの人の手を経て、ようやく本が完成するのです。
制作期間は原稿や校正、装丁にかかる日数などにより変わりますが、おおよそ1~3ヵ月が目安になります。
また仕上り希望日があれば、ご相談ください。
定期物については異なった予定を組みます。
2.制作費用
- 【印刷経費】
- ・制作数に関係なく必要な経費:文字入力/修正/データ作成/刷版
- ・制作数により料金が変わる経費:印刷/製本/カバー加工費
- 【追加費用】
- ・頁が増える、1頁あたりの文字数を増やす
- ・写真・図・表の変更/増刷/仕様内容の変更 その他
原稿枚数 | 400字詰原稿用紙で何枚か |
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判型 | B6判・四六判・A5判・B5判・A4判 |
版類の数 | 写真・図版・挿絵などの入る場合の枚数、別紙で印刷するか? |
本文用紙 | 上質紙/書籍用紙/コート紙/アート紙 |
部数 | 何部印刷するか |
造本 | 上製本・並製本、厚表紙・薄表紙、表紙は紙に色刷りするか、布やクロスを使うか、丸背・角背、カバー・外函、その他 |
3.構成順序
一冊の本は、本文(誌面で本体になっている本の中身)以外に目次や序文などの前付と、あとがきなどの後付で構成されています。
前文 | 見出し・扉・口絵・献辞・序文・はしがき・凡例・目次・略語集・解説 など |
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本文 | 前・後付を除いたすべての部分、中・半扉を入れることもできる |
後付 | 後注・参考文献・年表・あとがき・奥付 など |
4.判型
印刷物の紙のサイズには、おもに日本工業規格(JIS規格)によるA判とB判の示例があります。一般的なサイズはA5判とB5判で、B判の方がA判よりも大きく、またA判、B判ともに4・5・6と数字が大きくなるにしたがって、サイズが半分になります。
5.紙の種類
紙の種類は実に多彩です。
同じ製本であっても、紙質によって本は全く異なった印象をもちます。
アート紙に印刷するとシャープで鮮明になり、マット紙に印刷するとしっくりと落ち着きます。印刷する紙によって出来上がりの感じも違う上、多少費用の点でも変わってきます。
紙の種類は印刷物の使用目的によって選びます。
紙は本の雰囲気を決める重要な役割をしているのです。
上質紙 | 最も一般的な紙で、模造紙と呼ばれているもの。白色度が高く、つやがない。書籍や雑誌・原稿用紙・ノート・手帳など幅広く使われている |
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書類用紙 帳簿用紙 |
適度にザラつきがあり、ややクリームがかった紙が多い |
中質紙 | 一般的にザラ紙と呼ばれている、ややクリームがかった紙 |
アート紙 コート紙 |
表面に光沢があり、カラー印刷・写真版印刷に最適 |
ケント紙 マット紙 |
つやのない紙で、絵本やイラスト集などに使われる |
6.外装
何ページ分かをまとめて大きな紙に印刷して、その後に書籍やカタログの姿にすることを「製本」といいます。
7.主な製本の種類
本製本 | 通常、並/上製本と区別されるもので、ソフトカバー/ハードカバーとも呼ばれ、ここから文字通り表紙の紙が柔らかいか/硬いかということ。 |
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並製本 | 中身を綴じたものに印刷された一枚の紙表紙をくるんで、背に接着させ、三方絶ちして仕上げる。本文(中身)と同寸の仕上り。 |
上製本 | 表紙は芯地をクロスや印刷物でくるんであるので、立派で厚みもあり耐久性に優れている。本文(中身)よりも少し大きい。 |
無線とじ | 糸や針金を使用せずに、接着剤でとじる。のどの部分まで開くので、見やすい。雑誌・電話帳や一部の書籍に使われている。 |
平とじ | 背に近いところを何箇所か針金でとめたもの。のどの部分が読みにくい。マンガなどに使われている。 |
中とじ | 背を針金でとじたもの。背に文字は入らない。そのため、ページの少ない雑誌やパンフレット・カタログなどに使われる。 |
8.校正記号
原稿には、文字原稿と写真やイラスト、図表などの図版原稿の2種類があります。文字原稿には、文字組みの指定ルールや文字校正のルールがあって、目的によって文字の種類を使い分けます。できあがった原稿は、原稿整理を行います。
この時、文字への指示やレイアウトの指示は必ず色ペン(朱色など)を使います。右に原稿へ赤(朱)字で指定をした例をご紹介します。
9.書体
本文に使う書体や体裁は、慎重に選ばなければいけません。
書体や文字の大きさによって、行になったときの印象がずいぶん違ってきます。読みやすさ、親しみやすさが決まる、とても重要な要素です。
文字は、書体と太さを併せて指定します。
書体の種類には大きく分けて、明朝体とゴシック体の2つの書体があり、さらにさまざまな大きさや表情のものに分かれます。文字の大きさは、級(Q)もしくはポイント(P)で表します。1級は0.25ミリ、1ポイントは約0.3514ミリで計算されています。
10.級数・行間の違い
行間とは、行と行の間隔を指します。
そしてそれは文字と同様に、級数やポイントで表します。
行送りとは文字の中央から次行の中央。つまり(文字級数 + 行間)を指します。
例えば、(文字12級 + 行間8=行送り20)となります。
図で示すように、文字級数と行間によっても本のイメージが異なってきます。
11.データ入稿の
ポイント
本文の原稿には、手書きの原稿と、入力されたデータ原稿の2種類があります。手書き原稿は、原稿用紙に書かれたものを文字などの指定後入力してデータ化します。
入力済みのデータ原稿は、テキスト形式のものであればそのまま使うことができます。 プリントアウトされた原稿に指定を書き加えたものを修正する作業を行います。
- ■ 本文データ(Win/Mac):
テキストデータ - ■ 画像データ(Win/Mac):
データづくりの際の解像度・データ形式などの問題があるので、入稿先に相談する
<本づくりの手引き>
気をつけなければ
いけないこと
印刷色数を決めるときの注意:例えば16ページの小冊子のうち1ページだけをカラー4色刷りにする場合、他のページが1色刷りでも印刷数量は4色になります。これは印刷するときは1ページずつではなく、8ページ分をまとめて1枚の用紙に刷るからであり、コスト面で不経済となるので注意。
- 納期が延びる原因
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- ① 入稿した原稿が不完全
- ② 校正での原稿追加・内容の変更(これは費用にも大きく影響します)
- ③ 色校正での変更と追加(これも費用にも大きく影響します)
いい本をつくるための
ポイント
- ある程度見栄えのする
本にしたいとき -
- ① 少ページでも文字の大きさや書体・字詰めに工夫する
- ② 製本を上製本にするなど見栄えをよくする
- ③ 装丁をデザイナーに依頼する
- 自分らしい本を
つくるために -
- ① 原稿内容に合せた判型・文字の大きさ・書体を選ぶ
- ② 写真・イラスト・図などを盛り込む
- 低予算の場合の
アドバイス -
- ① ページを抑える
- ② ペーパーバックにする
- ③ 写真点数を見直す
- ④ 1色刷りにする
- ⑤ 本文・表紙の用紙にコストをかけない